公開日:2023.11.25 最終更新日:2023.11.27

『これからの太陽光発電は 売るのではなく“使う”が主流になる?』

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平成23年3月11日に起きた東日本大震災では、東北や関東地方を中心に莫大な被害が出ましたが、福島第一原子力発電所の事故など、現在に至るまで対応が続いている事案も数多く存在します。そして、電力の供給不足が生じたことで「計画停電」が実施され、首都圏を中心に混乱を招く事態にも発展しました。

そして、電力不足に追い打ちをかけたのは原発の全停止です。メルトダウンなど今後の災害時に危険を招く恐れがあるとのことで、当時の民主党政権は原発全停止を決断し、不足する電力については将来を見据えて自然エネルギーによる確保を目指す方針を打ち出しました。これが、現在まで続く「自然再生エネルギー」の導入の経緯です。今回のコラムでは、自然再生エネルギーの中でも特に導入している人が多い「太陽光発電」について、詳しく解説します。

1、再生可能エネルギー特別措置法と太陽光発電

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太陽光発電が家庭や事業者によってどんどん導入されていく経緯となったのは「再生可能エネルギー特別措置法」が制定されたことです。この法律では、太陽光発電などの再生可能エネルギーの電力を、電力会社が一定期間定額で買い取ることを定められている法律です。このことは、再生可能エネルギーによる発電ビジネスの推進や拡大のきっかけになりました。

その後、電力の買い取りに掛かる費用は、国民が電気使用量に応じて負担をする「固定価格買い取り制度(FIT制度)」が、2012年に施行されました。つまり、太陽光発電を設置している人が得る収入を支払っているのは「国民」という仕組みとなったのです。この時の買い取り価格は、設置設備が10kW未満で1kwあたり42円であったため、多くの人々がこぞって太陽光発電を導入しました。

太陽光発電を導入すれば、自宅の電気をほぼ太陽光発電で賄えるのと同時に、余った電気を高額で買い取ってもらえることから、個人から企業までさまざまな人々が太陽光発電を導入しました。再生可能エネルギー特別措置法が発足した当時は高額だった買い取り価格も、次第に減少の一途をたどり、2023年度(令和5年度)の太陽光発電の売電価格は、設置設備が10kW未満で1kwあたり16円、設置設備が10kW以上で1kwあたり11円と、導入当時の半分以下になっています。そのため、太陽光発電を設置する個人や事業者も減少傾向にあります。

2、個人住宅への導入ニーズはまだまだ根強い太陽光発電システム

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企業が収益をあげる目的で太陽光発電を導入する事例は次第に減少していますが、個人の住宅においては、非常時の電源確保の観点などから、太陽光発電の設置が今でも積極的に行われています。これは「太陽光発電の売電で儲ける」という考え方から「太陽光発電を自家消費しつつ災害にも備える」という考え方に、ユーザーたちが変化しているとも言えます。その他、個人住宅と太陽光発電の関係性について、注目すべき変化について紹介します。

(1)安価な太陽光発電システムの登場

太陽光発電は、太陽光パネルと電力を変換するコンディショナーで構成されていますが、蓄電池をセットすることで発電した電気を蓄積し、必要に応じて使用することができます。でも、これだけのフルセットになると導入費用はあっという間に100万円を超えます。自治体によっては補助金制度を設けているものの、いったんは工事費用の全額を施主が負担する必要があるため、なかなか導入に踏み切れない人も多いです。そんな太陽光発電システムを、徹底的にサイズダウンし、自家消費専用のシステムとして開発したのが京都市に本社を置くエクソル社です。気になる価格は工事費込みで40万円以下となっており、多くの個人ユーザーが注目しています。

(2)相次いで起きる「ブラックアウト」への備え

2019年9月9日に関東地方へ接近した台風15号は、千葉県房総地域で鉄塔2基、電柱・樹木をなぎ倒すなどの強風台風でありました。そのため、関東圏で最大約100万戸が停電することとなり、特に千葉県内では1週間たった9月16日の時点でも6万戸余りが停電し、同時に2万戸で断水が発生しました。これらの被害と同時に、強風による家屋の倒壊などが相次いでおり、千葉県民の大半が「1週間停電」と言う恐ろしい事態に巻き込まれたのです。それより1年前の2018年9月6日には、北海道で最大震度7の地震が発生し、その結果北海道エリア全域におよぶ大規模停電(ブラックアウト)が発生してしまいました。

そもそも電気は、電気をつくる量(供給)と電気の消費量(需要)が常に一致していないと、電気の品質(周波数)が乱れてしまいますが、北海道の場合は地震によって停電が発生し、供給と需要のバランスが急激にかつ大規模にずれてしまったため、送電設備の安全装置が全域で動作したことにより発電所が停止してしまい、ブラックアウトが発生してしまいました。この時、自家消費が可能な太陽光発電システムを導入している個人は、当然ブラックアウトの難を逃れることになりました。

(3)固定価格買い取り制度(FIT制度)が改正された

2012年からの固定価格買い取り制度(FIT制度)では、太陽光発電によって発電した電気を一定期間固定価格で電力会社が買い取ることになっていましたが、これが2020年に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)」が改正されたことで、FIT制度はFIP制度に移行することになります。

FIP制度の導入により、電力の売却時には、市場価格にプレミアムを上乗せして買い取り価格を設定することができるようになります。買い取り価格が市場価格に連動するため、価格が高いときに売電すればもっと多くの収益を得ることができるようになったのです。そのため、FIP制度開始を機に「蓄電池」を導入する家庭や事業者も増えてきました。このことにより、市場価格の変動をチェックしつつ売電することができ、収入を増加させることができるようになりました。

3、これから太陽光発電システムを導入するとどうなる?

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これから太陽光発電を導入したい方々にとって、今から導入してもお得になるのか気になる方もいるのではないでしょうか。今後、太陽光発電を導入することで、どのようなメリットをもたらすのかを解説します。

(1)地域活用要件を満たしていれば売電が可能になる

10kW以上50kW未満の太陽光発電を設置する場合、地域活用要件として定められている条件を満たせば売電できます。地域活用要件とは、太陽光で作った電気の30%以上を事業などで消費することが求められるもので、自家消費が可能な設備であることを審査されることも新たに行われます。そのため、従来の設備認定に加えて、電気をいかに自家用として消費するかを前もって報告する「自家消費等計画」が必要となりました。簡単に言えば、発電量100%とのうち、30%以上は必ず自家用電力として消費することが義務づけられたもので、従前のように発電量のすべてを買い取ってもらえなくなりました。

(2)電気料金の値上げ対策として

電気料金はさまざまな原因によって変化します。原子力発電所が停止したり、火力発電用の燃料価格が上昇したりすることで値上げする場合もありますが、2023年の時点で急激な円安が進んでいることから、発電用燃料の購入価格が高騰し、国が緊急経済対策として電気代の一部を公的資金により補填することで、庶民の急激な負担増を押さえている実情があります。ですが、ウクライナ情勢やイスラエル情勢など、さらなるリスクが世界中に存在している今、電気料金の値上げ対策として太陽光発電システムを導入することはリスクマネジメントとして最適とも言えます。

(3)まだまだ続く自治体の補助金制度

全国の市町村などでは、太陽光発電に対する補助金制度を実施しています。補助金制度を活用すれば、導入時の費用負担を軽減することができます。導入時のコストを軽減したい方は、事前に取扱い業者や設置場所の地方公共団体に問い合わせることをおすすめします。ちなみに全国すべての市町村が補助金制度を運営しているわけではありません。補助金制度が無くても、金融機関において太陽光発電を購入の際に利用できる「ソーラーローン」もあります。太陽光発電による売電収入を見越して一定の金額を貸し付けてくれるローン商品ですので、取引先の金融機関に問い合わせてみることをおすすめします。

3、これからの太陽光発電は 売るのではなく“使う”が主流になる?まとめ

先ほど紹介したエクソル社の低価格太陽光発電システムでの「想定収益モデル」によると、太陽光発電で発電した電気の分だけ、電力会社から購入する電力量を削減することができれば、設置費用は10年間でちょうどペイできると想定されています。そもそも太陽光発電システムは、一度設置してしまえば太陽光が存在し続ける限り追加コストも不要で発電し続けることができます。それぞれのシステムの設置環境によっても異なりますが、10年程度使用すれば、電力会社から電気を買い続けた場合の費用が太陽光発電の導入費用を上回ることが想定されています。つまり、今の建物で10年以上居住するとなれば、太陽光発電をつけると経済的メリットが大きいと考えられるのです。

また、政治主導による「環境対策」がさらに加速する中で、太陽光発電に対するテコ入れが行われることも十分に想定されており、太陽光発電システムの導入は決して時代遅れではなく、将来的なライフプランを立てる中で考えると、長期的に見ればプラスになることも十分にあり得ます。一時の損をするわけでもありませんが、将来的にもっと得をすることがわかれば、積極的に導入しても問題ないと思います。

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