工事現場ではさまざまな工程を通して一つの建築物を作り上げていきます。そして、その現場で欠かせない工具の一つがインパクトドライバー。
インパクトドライバーひとつあれば、アタッチメントやビットを付け替えることで「ネジ締め」「下穴開け」「切断」などを行うことが可能です。
今回は、インパクトドライバーの選び方、アタッチメントやビットの種類についてご紹介します。
インパクトドライバーとは、電動ドリルと電動ドライバーの機能を兼ね備えた電動工具のこと。
ネジやボルトは数種類の頭部形状があるため、一般的な電動ドライバーでネジの取り付けを行う場合は、ネジの頭部形状に合わせてドライバーの先端を付け替える必要があります。
しかし、インパクトドライバーは本体から発生する衝撃によってネジを押し込んでいくため、ドライバーの形状を変更することなくネジ締めを行うことが可能です。
また、先端部分のアタッチメントを変更することでネジ締め以外にも、穴開けや切断など多くの場面で使うことができます。
さらに、インパクトドライバーは、抜群の打撃力で分厚い木材を組み合わせたり、コンクリート製の壁にネジを打ち込んだりする作業も可能です。
インパクトドライバーのアタッチメントは、ドリルの先端部分の形状を変化させるもの。アタッチメントを付け替えることによって、さまざまな場面で使うことが可能になります。アタッチメントにはどのような種類があるのでしょうか。
ソケットアダプタとは、角ドライブの締め付けを行うためのアタッチメントのこと。
角ドライブとは、ボルトとソケット、ハンドルの3つの部品で構成されている工具で、差し込み角が「6.35mm」「9.5mm」「12.7mm」「19.0mm」「25.4mm」「38.1mm」「63.5mm」の7つに分かれています。
ソケットアダプタを使用することで、角ドライブの締め付けを簡単に行うことができます。施工箇所が狭い場合には、首振り可能なソケットアダプタがおすすめです。
SDSアダプタとは、壁や木材に穴を開ける際に使用するアタッチメントのこと。
インパクトドライバーは非常に強力なため、柔らかい素材に対してSDSアダプタを使用すると破損の恐れがあります。SDSアダプタを使用する場合は硬いコンクリート製の壁や分厚い木材がおすすめです。
L字型アダプタとは、ヘット部分がL字に折れ曲がっているアタッチメントのこと。L字型アダプタは、折れ曲がった形状を活かして直線タイプのアダプタが使えないような狭い箇所でのネジ締めや穴開けに最適です。
ノコギリアダプタとは、円形の小型ノコギリのアタッチメントのこと。
ノコギリアダプタは、マルノコ刃を使用しており、ノコギリガイドが装着されているものが多くあります。ノコギリアダプタは小型ですが、一般的な電動ノコギリと同等な性能を持っているため、木材や合板などの硬い素材を切断する際におすすめです。
ビットとは、インパクトドライバーの先端に取り付けるドライバーセットのパーツのことです。ビットとアタッチメントは、インパクトドライバーの先端に取り付ける点に関しては共通していますが、アタッチメントはネジ締めだけではなく幅広い場面で活用できるようになることに対して、ビットは用途がネジ締めに限定されている点が異なります。
ここでは、使用頻度が高いビットをご紹介します。
両頭ビットは、両先端にネジ締め用のドライバー加工がされているビットのこと。片方のビットが破損した場合であっても、もう片方のビットを使用することができます。
両先端が同じタイプのものであったり、別のタイプがあったりするなど、その形状はさまざまです。
段付きビットとは、丸形状のネジを締め付けるときに使用するビットのこと。段付きビットは負荷がかかったときに、衝撃を吸収するため通常のビットよりも本体頭部の耐久性が高いという特徴があります。
トーションビットとは、一部にひねりを加えているビットのこと。この仕様によって、衝撃を和らげる働きが期待できます。また、ビットに余計な負担がかからないため、金属疲労による破損を防ぐ効果があるのです。
スリムビットとは、本体頭部が細くなっているビットのこと。狭い箇所のネジ締めをしている最中であっても視界が良好になり、接合部分が確認しやすいため、細かい作業を行う際に最適です。
国内外の多くの電動工具メーカーから販売されているインパクトドライバー。ここでは、購入後に後悔しないために、使いやすく便利なインパクトドライバーの選び方をご紹介します。
インパクトドライバーを選ぶ上で最も大切なことはボディーがコンパクトで軽いことです。建設現場や工事現場でインパクトドライバーを持ち歩くことが多いため、重量があるものは持ち運びが大変に。
年々ボディーのコンパクト化が進んでいますが、購入する際は重量を重視して選ぶようにすることをおすすめします。
インパクトドライバーを動かしているのは、充電式のバッテリーです。
インパクトドライバーは、製品によってバッテリーの規格が異なるため、日本国内で一般的に流通している規格のバッテリーを使用している製品を選ぶようにしましょう。
特殊な規格のバッテリーを使用している製品を選んでしまうと、バッテリーが使用できなくなった際に同じ規格のものを探すのが難しくなり、本体は壊れていないのに買い替えなければならなくなる可能性もあります。
トルクとはネジを締めるときの力のことです。トルクが強いインパクトドライバーは、長いネジを閉める際や、硬い材質に穴を開ける際に押し込む力があるため作業効率の向上が期待できます。
インパクトドライバー使用時の注意点を解説します。いくつかあるため、「インパクトドライバーの扱いに慣れていない」という方は確認しておくことをおすすめです。
インパクトドライバーは、「回転力」と「打撃力」を兼ね備えたドライバーです。
インパクトドライバーは非常にパワーがあるため、強度があるコンクリート製の壁や厚い木材に対して使用する分には特に問題ありませんが、柔らかい材質のものに対して使用すると素材を破壊してしまう可能性があります。
そのためインパクトドライバーを使用する前は、かならず「この素材にドライバーを使用しても問題ないかどうか」ということを確認しましょう。
インパクトドライバーは打撃を繰り返すことによってネジを締めるため、打撃音が大きいというデメリットがあります。
そのため夜間や周囲が静かな場所で使用する際は、防音シートで現場を囲ってから使用するといった配慮が必要です。
インパクトドライバーは性質上、打撃を開始すると本体が回転しようとします。素材にドライバーを突き刺したまま本体が回転すると周りの人に危害が及ぶ可能性が。
事故を未然に防ぐためにインパクトドライバーの使用中はグリップをしっかりと握るようにしましょう。
インパクトドライバーはネジ締め以外に、先端部分のアタッチメントを付け替えることでさまざまな場面で使用することができます。
インパクトドライバーは1台で多様な工程で使用する工具の働きをするため、作業効率が格段に上がるでしょう。
また、アタッチメントは非常に多くの種類があり、増やしていけばどんどんインパクトドライバーの作業可能領域を広げることができるので、気になるものがあれば試してみることをおすすめします。
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